ひぐれ時の浅瀬をみると無数のハエが白腹をひねって泳いでいる。
 ちいさな堰のながれに馴れて群れあそんでいるようにナイフの煌きをみせて時おり水面をはねて散歩している人を喜ばせている。
 水面すれすれを飛翔する虫を捕食しているのだ。
 それをサギやカワセミの狩人が虎視眈々とねらっている。
 子供のころ備中川で(かがしら)、虫に似せた擬餌、いわゆる毛ばりで腕がなえるほど振りこんではハエ釣りをしていたのをおもいだしていた。もっとも釣れるのがこの時季時間帯なのであって清らかな瀬音の水中でキラッ、キラッとナイフのきらめきにさそわれて西日が沈んでしまうまで竿を振りつづけ、多少の釣果を天麩羅にしてもらって満足したものだった。 
 郷愁にうるむひとときだった。

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