prose-堀川寸描

2013年9月15日 趣味
 一昔は肥沃な水田であったが今はそのよすがもない新興住宅地にかわったのにもかかわらず農耕に供した水路は健在で碁盤の目のように流れている。農業用堀川から生活水路にかわりコンクリートの護壁には各家の排水口に使っているパイプがつきだしていてその時刻には洗水を吐き出している。
 「中核地方都市」を称しながらいまだに下水処理が施設されたいないのが如実にみられる。インフラ整備が遅れているというより遅らされているという思いがつよい。
 毎年6月を同じくして用水には大川のひもんが揚げられて末端の水路も増水した。住宅の塀に四方を囲まれた一枚の水田に株をはる稲の生育をうながすためのものである。
 このころ暇人や犬ずれの人が用水を覗きながら歩くのを目にする。
 20~30cmを超える鮒、鯉が群れて水面を割って泳いでいて足音に群れがみだれそのあと一方向にすばやい速さで泳いでいく。
 40cmなみの鯰もペアをくみ底の泥を煙幕にして逃げていく。
 陽の高いときにはすっぽんや種類のわからない亀が朽木や石積みのわずかな突起で甲羅干していたのを珍し気に観察するのである。
 9月は半ば、今に魚影はなくなった。
 秋の不安定な陽が堀川に陰陽を映すのみである。
   

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