prose-落魄②

2012年12月3日 趣味
prose-落魄②
prose-落魄②
 冬枯れの田園は色彩がなく畦を伝うて歩くとひとしお侘しさが募る。犬でも走ると主役のように存在がうかびあがる風景だ。 平安時代終期には描ききれない野であったに違いない。
 藤原基房の配流地湯迫の関白屋敷跡は竹林に埋もれて幽玄の空間にある。地元の人の手入れがゆきとどいて足の踏み入れに難はないが、雰囲気は押し詰められた緊迫感を漂わせている。
 代々朝廷の摂関職を任じてきた藤原一族にとって平清盛は不倶戴天の仇との想いがあって企てたことが露見した結果の配流、さぞかし栄華の落魄にむせた一隅である。

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