一文の値打ちもないとは、いやはや、つれない台詞である。
 表紙、帯紙もキレイで悪戯書きもしていない、著者は現役で今でも話題作をだしている有名な作家、数冊の文庫本ならまだしも単行本はそれなり値打ちもんと思うが・・・、それでもなおダメ、となれば一体どこがどうなっているから評価に価しないのだろうか・・・。
 本の呼称に、上が「天」、下が「地」、前が「小口」の部位名がついている。
 本箱や本棚での保管が一般的で、立てに並べたり平たく積み重ねするが多い、ここは本棚に立てに並べるのを基準にすると、「地」と「小口」は板に接して「天」だけが板との空間があり汚染分子を包含した空気にさらされている。
 紙は生き物で呼吸している。
 ホコリ、湿気それに煙草の脂をはりつかせ咽び呼吸させていると人間の皮膚と同じように紙に汚沁をあらわす。
 どんな僅かな隙間だろうが一寸の穴だろうが空気はアメーバになって侵入する。
 もっとも早く激しく被害を受けるのが「天」の部位で、指摘されてあらためて見てみると白が白でなくなり茶褐色の汚沁が点々の尾を曳いているのである。
「除染できなくて、これがあると売れない」そうだ。他の部位を診たりページをぺらぺら開いて損傷を確認する以前の問題で「天」のゲートでひっかかると「ハイそれまでよ」ということになる。
 
 世は活字離れnet社会にあっても、紙の匂いインクの香り活字に親しみあるいはくみた昔々の懐古薫香を後生大事にする機関や人は、いかに変転しても絶えることはないと思う。

 今日以降、新書購入の際には余程気をくばろうと肝に銘じた。
 
 
 
 

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