prose-とどろき

2012年11月9日 趣味
 鉄橋はなんとなしロマンがある。貨物列車の鉄の塊が大車輪でレールを研磨して平地を駆り坂を喘ぎ走り去る。節々のせめぎを鳴らし変身したいも虫が、みるも果てない地方風土を切り裂いて驀進していく。
 たまさか河川の橋桁に足を踏み入れたと同時に、機関車が頭上に躍り出てきた。容赦なしの轟音をあびせられ頭に落下した雷のよう、咽頭部をがたがた強請り腹部に飛び込んできて胃や心臓、肺から肝臓膵臓を滅茶苦茶おどしひっくりがえしてあかね空のなかへ吸い込まれた。
 それからは鉄橋の桁下にさしかかる場合、右よし左よしと確認するようになった。強引で強欲なロマンは遠くから味わうものである。

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