prose-積雪災辺

2012年1月24日 趣味
 一夜あけたら銀色の世界になっていた、という関東地方の現象だったらしい。
 岡山市内の積雪は 一年にあるかないかの、恵まれた土地。
 若いときは銀世界を妙にはしゃいだものだが今は手のひらをかえしたように、雪などは「まっぴらご免」の心境にある。なんとなれば降雪まえの冷え込みにおそれおののき、小春日和をなにより恋焦がれているからである。
 
 温暖な岡山であるけれど寒さや冷たさがかやの外ではないのであって、気候的に大陸寒気団と太平洋低気圧の接点に位置しないだけで問題である。北風や西風の寒さは虎狩笛となって吹き晒し朝晩の冷えは相当なものである。わずかの差で接点の枠内にまきこまれていれば当然積雪の圏内にあるのだ。
 それに当てはまる年が希にある。春先の気まぐれなドカ雪である。
 ドカ雪、といってもせいぜい20センチ前後の積雪であって、雪国の人に、いわく「なんだそれしきの雪、おれん処なんぞ軒下いっぱい積もるんだぜ」といわれればばそれまでであるが、なにせ雪に縁のない市街地に踝が埋まるほど積もれば天地がひっくり返るほどに市民は仰天しまさかのインフラが麻痺してしまうものなのだ。
 すぐる年、現役時代の三月に脛までの積雪のときがあった。
 労務担当だったので朝食そこそこに出勤した。早朝だったので新雪の農道の中央を走って無難に会社にたどり着き、関係部署に連絡して臨時休業の手配した直後に、一面凹凸をかくした社員の一人が路肩の限界を読み違え、それによる脱輪事故の知らせがあいつぎ、最悪、農道で水をたたえた農水路に転落し車は水没、結果的にかえらぬことになった社員のできごとだった。
 積雪の知識がうすくて経験のない地域に「それしきの雪」は該当しないのである。

 判定の尺度は魑魅魍魎なのである。

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