今の時期に青い果実が珍重されるのは梅ぐらいだろう。
 からっと晴れ渡った空気ではいけない、やや鈍色の、いつ降るかわからない、肌に湿気を感じるような時に、たわわに下がる枝を引き寄せて、青い実を捥ぐのが梅雨の梅狩りだ。
 俳句や短歌をする人ならここで一句ひねるに違いない、ならば我輩もと、梅をもぎ乍ら、このところ軽量化甚だしい脳みそをひねくりまわしてみた。だが字数を型にはめなくてはならないのには、少々アレルギーになっているので、自然消滅で思考が停止した。
 もぎ取りに専念することにした。
 大粒の青い果実は武骨な掌によくおさまり、なかには頬をポッと染めて待っていてくれる実もあるのだ。
 毎年招待していただく知人宅での梅狩りである。
 それは年一回書生に還るときでもある。

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