橋の架かる淵に白い花がひとかたまりに咲いていた。
 走行中に横目でチラッとみたものだから思いかえしても何の花だったかさだめられない。
 いつまでも頭から消えぬものだからカメラ2台を用意してでかけてみた。
 ここぞと思う場所に車を横付けして偵察を試みたのであるが、思いと相異して河川敷の石積みには真菰の葉が繁っていて花など見当たらぬ。花盗人の、刈り取った痕跡もなかった。
 狐につまれたというのはこのことか。
 熱はなかったから幻ではないはずだ。
 頬をつめってみたけど痛かったので夢ではない。
 5メートル上流に野生化したショウブの群生がみられたが、小潅木にかこまれているので橋の上からとても見えるはずもなく、仮に見えたとしても紫色が勝った花の群生とはまったく印象が合致しないのである。
 いたってあきらめがいいので、口笛を吹く寅二郎の気分で帰途についた。
 

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