炉辺余話ー驟雨

2011年4月27日 日常
 山道は時雨れた。
 大気不安定でときおり前面の見通しがきかない驟雨がスピードを極端に抑えた。山桜が雪洞のように突然あらわれ若葉のそろった山襞が幻想的に後方へ消滅していく。
 死者の骨あげに赴く人々は一様に寡黙な時間を耐えた。
 斎場スクリーンに写しだされた故人のつややかな歌声を雨煙りの中の余韻に浸るように耳を傾け、たよりなげに曇り窓をながめていた。
                      〈真庭・義兄の葬儀にて〉

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