小春日和ならお出かけ虫がもぞもぞするのだが寒風すさむ日々は亀の子のように首をすくませて部屋で遊んでいる。
暦上では立春、気分は浮つくのだが実態はそうはいかない。日本の国体のようだ。
若いときに読んだ小説「坂の上の雲」を全6巻(文庫本)再読した。司馬遼太郎の本はすべて買い揃えている筈と思い、書棚の普段めったにのぞかない処を探って引っ張りだした。余談だが濫読のあおりでどこにどの本が入っているのかの認識がない。置くところに詰まって一段に二列に押し込めているので呆れるほどの文庫本が出てくる。歳も歳だから近いうちに要らざる本を一度整理し処分しようと、さすがに思うにいたった。
さて「坂の上の雲」読了の余韻で思うことなのだが、このストーリは秋山好古・真之の兄弟、生きた分野は異なる正岡子規の物語。西洋の文明に愕然として維新革命をなしとげ無から遮二無二追いつけ追い越せで、なけなしの財布をはたいて近代軍備を構築し、強国の植民地占領、日本にとってはロシア南下脅迫に対抗して日清戦争、日露戦争を興した。列強に恐れなし、国体一心で坂の上の雲をみつめていた時代の背景に、個々だが一徹の生き方を長編に書き描いたものである。今世からみれば3人とも途方もない奇人である。それが真っ当の評価で生きられた時代、目標目的が明瞭に支配していたのである。
今膝元をみるならば、歩く道が見えないばかりか、保証の空手形に不安がはびこり坂の上の雲が見えない状態だ。
龍馬のごとき人物を輩出できない土壌に劣化してしまった、と思う。
この本のいまひとつの面白さは倒幕から明治政府重鎮の個性が手に取るように想像できるのである。
暦上では立春、気分は浮つくのだが実態はそうはいかない。日本の国体のようだ。
若いときに読んだ小説「坂の上の雲」を全6巻(文庫本)再読した。司馬遼太郎の本はすべて買い揃えている筈と思い、書棚の普段めったにのぞかない処を探って引っ張りだした。余談だが濫読のあおりでどこにどの本が入っているのかの認識がない。置くところに詰まって一段に二列に押し込めているので呆れるほどの文庫本が出てくる。歳も歳だから近いうちに要らざる本を一度整理し処分しようと、さすがに思うにいたった。
さて「坂の上の雲」読了の余韻で思うことなのだが、このストーリは秋山好古・真之の兄弟、生きた分野は異なる正岡子規の物語。西洋の文明に愕然として維新革命をなしとげ無から遮二無二追いつけ追い越せで、なけなしの財布をはたいて近代軍備を構築し、強国の植民地占領、日本にとってはロシア南下脅迫に対抗して日清戦争、日露戦争を興した。列強に恐れなし、国体一心で坂の上の雲をみつめていた時代の背景に、個々だが一徹の生き方を長編に書き描いたものである。今世からみれば3人とも途方もない奇人である。それが真っ当の評価で生きられた時代、目標目的が明瞭に支配していたのである。
今膝元をみるならば、歩く道が見えないばかりか、保証の空手形に不安がはびこり坂の上の雲が見えない状態だ。
龍馬のごとき人物を輩出できない土壌に劣化してしまった、と思う。
この本のいまひとつの面白さは倒幕から明治政府重鎮の個性が手に取るように想像できるのである。
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