いきなり初夏である。
気温が20度に上がる。
窓を開放して吉備新線を走行していると眞に快適なドライブになった。
吉備新線の街路樹は若木だが桜並木であるが南の方はもう葉桜の気配、吉備高原都市の信号あたりはまだ花弁健在である。サイエンス館は閉鎖されていて驚いた。
県の財政都合で既存の施設が次々と閉鎖されているのだ。
ヤマザクラが山を薄ピンクに染めていて空は春霞、雲ひとつない天気、車を降りて牛舎の横をすり抜け山裾を巻く径をたどり心覚えの桜木のあたりから爛漫とカタクリが咲いていた。
うしろから賑やかに、妙齢の女性教諭に引率された小学生10人ほどが追いついてきた。顎紐のついた赤い帽子、白のシャツ、濃紺の半ズボンの小学生は、紐のついた画板を全員かかえていた。首にかけてスケッチする、アレである。
「こんにちは」と先生と挨拶を交わすと生徒は次々同じようにいってくれる。雲雀の合唱のようで微笑ましい光景。
「よく咲いていますね」というと、先生は、
「奥の方へ行くともっと咲いていますよ」
「奥というと・・・」
「私たちもこれからそこへ行くんです」
「じゃあ、うしろからついていきます」
ということで、生徒の一列縦隊の最後尾について歩く。実に賑やかで楽しい。
すぐ前の生徒は小太りの男子、
「何年生?」と聞くと、
「二年生!」
「カタクリをスケッチするのかな」
「そう!」
簡単明瞭な会話をしながら落葉をカサカサ踏みしめるのである。
「あっ、イノシシの跡」
「へぇ、これがねぇ。よくわかるねぇ」
「山だからね。でもそんな山奥じゃなくてちょっとした山」
「じゃあイノシシを良く見るんだ」
「見たことはない、サルの声はよく聞くよ」
「へぇ、すごくいい所なんだ」
なにが凄いのか自分でもよくわからない。
やがて今来た径の一段上の整備された場所につくと、なるほどカタクリの大群落である。
「さあここでカタクリの写生しましょう、よく観察して描きましょう、色は教室に帰って塗ります。花や葉っぱの形を描くんですよ」と先生、
「端っこに行って落ちないように、みちから上に上がってはいけません」
がやがや言いながら生徒は一斉に画板に向かう。
「あっ、花をとっちやぁダメ・・・」
「葉っぱはそんなにちいさいかなぁ・・・」
「よく見ているじゃない、いいですよ」
先生も忙しい。
授業の邪魔にならないように、少し離れてクローズアップレンズを装着し枚数を重ねて撮影する。
「センセイ、あのおじさん写真とっとる・・・」
「カタクリがキレイだから写しているの」
「ふ~ん」
そのうち全員が線描きスケッチを終えたらしく、
「さあ帰る準備をしてぇ、あそこの赤い花のところで写真を撮りますからね」
来た時と同じように一列縦隊であるきだした。
先生に、
「ありがとうございました」と挨拶する。
「いい写真撮れました?」
「ええ、なんとか、ですね」
「さようなら」「さようなら」は、生徒ひとりづつが去るときの挨拶。
手入れの行き届いたカタクリの群落は大方花弁をイナバウワのように反り返り、あまりにも反り返ってダンゴみたいなものが多い。来るのが遅かったようだ。
好天気が続くと来週は下り坂になるだろうと思う。
気温が20度に上がる。
窓を開放して吉備新線を走行していると眞に快適なドライブになった。
吉備新線の街路樹は若木だが桜並木であるが南の方はもう葉桜の気配、吉備高原都市の信号あたりはまだ花弁健在である。サイエンス館は閉鎖されていて驚いた。
県の財政都合で既存の施設が次々と閉鎖されているのだ。
ヤマザクラが山を薄ピンクに染めていて空は春霞、雲ひとつない天気、車を降りて牛舎の横をすり抜け山裾を巻く径をたどり心覚えの桜木のあたりから爛漫とカタクリが咲いていた。
うしろから賑やかに、妙齢の女性教諭に引率された小学生10人ほどが追いついてきた。顎紐のついた赤い帽子、白のシャツ、濃紺の半ズボンの小学生は、紐のついた画板を全員かかえていた。首にかけてスケッチする、アレである。
「こんにちは」と先生と挨拶を交わすと生徒は次々同じようにいってくれる。雲雀の合唱のようで微笑ましい光景。
「よく咲いていますね」というと、先生は、
「奥の方へ行くともっと咲いていますよ」
「奥というと・・・」
「私たちもこれからそこへ行くんです」
「じゃあ、うしろからついていきます」
ということで、生徒の一列縦隊の最後尾について歩く。実に賑やかで楽しい。
すぐ前の生徒は小太りの男子、
「何年生?」と聞くと、
「二年生!」
「カタクリをスケッチするのかな」
「そう!」
簡単明瞭な会話をしながら落葉をカサカサ踏みしめるのである。
「あっ、イノシシの跡」
「へぇ、これがねぇ。よくわかるねぇ」
「山だからね。でもそんな山奥じゃなくてちょっとした山」
「じゃあイノシシを良く見るんだ」
「見たことはない、サルの声はよく聞くよ」
「へぇ、すごくいい所なんだ」
なにが凄いのか自分でもよくわからない。
やがて今来た径の一段上の整備された場所につくと、なるほどカタクリの大群落である。
「さあここでカタクリの写生しましょう、よく観察して描きましょう、色は教室に帰って塗ります。花や葉っぱの形を描くんですよ」と先生、
「端っこに行って落ちないように、みちから上に上がってはいけません」
がやがや言いながら生徒は一斉に画板に向かう。
「あっ、花をとっちやぁダメ・・・」
「葉っぱはそんなにちいさいかなぁ・・・」
「よく見ているじゃない、いいですよ」
先生も忙しい。
授業の邪魔にならないように、少し離れてクローズアップレンズを装着し枚数を重ねて撮影する。
「センセイ、あのおじさん写真とっとる・・・」
「カタクリがキレイだから写しているの」
「ふ~ん」
そのうち全員が線描きスケッチを終えたらしく、
「さあ帰る準備をしてぇ、あそこの赤い花のところで写真を撮りますからね」
来た時と同じように一列縦隊であるきだした。
先生に、
「ありがとうございました」と挨拶する。
「いい写真撮れました?」
「ええ、なんとか、ですね」
「さようなら」「さようなら」は、生徒ひとりづつが去るときの挨拶。
手入れの行き届いたカタクリの群落は大方花弁をイナバウワのように反り返り、あまりにも反り返ってダンゴみたいなものが多い。来るのが遅かったようだ。
好天気が続くと来週は下り坂になるだろうと思う。
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