関門人道トンネル入口はは和布刈神社のすぐ上にあった。20人乗りと40人乗りの2基のエレベータが地下60メートルに連れていってくれる。自転車や単車は40人乗り側の利用がルールになっていて20円必要。歩行はただ!
 海底に到着すると出口は反対になり、出るとちょっとしたフロアになっていて、壇ノ浦側と一体図にしたら鉄アレイの形になる。その鉄アレイの軸が人道路で、そこを歩くのである。
 道の長さは800メートル弱ほど、時間は15分とあるが、私の方は例によって立ち止まり観察して歩くので30分近くかかった。孤独にならない程度に人の往来はあるし、第一照明が明るい。魚の壁画が続いているので他にない楽しさもある。ウオーキングやジョキングの人とも出会う。
 真直ぐ伸びた道はかなり遠くまで見わたせられる、というのも約半分の400メートル進んだ辺りが最深部でそこまでは微妙な勾配で下がり、福岡県ー山口県の県境を股にしてからは微妙な勾配で上るので、そこから少し先までが見わたせられるという訳である。
 上にもう一つのトンネルが走っていてこれが国道2号線。世界に珍しい2重構造のトンネルで、しかも海上は高速道が走っているのだ。
 関門海底国道トンネルは、昭和33年3月に開通した。全長3461メートル、海底部780メートル、総工費80億円を投じ途中に太平洋戦争があって中断したりしながら、約20年の歳月をかけて完成している。
 門司側の人道入口は先述のように和布刈(めかり)神社近くに、下関側は壇ノ浦にある。
 トンネル内ば、夏はヒンヤリと涼しく、冬は暖かいそうで、いわば鍾乳洞の要件を備えているのだろう。
 そして壇ノ浦に着くと和布刈と同じようにエレベーターで地上に吐き出された。
 目の前が、下関側からみる海峡。
 壇ノ浦古戦場でもある。
 壇ノ浦合戦の主役、八艘跳びの源義経と勇敢な平知盛のブロンズ像が公園で見得を切っていた。
 早鞆の瀬戸といわれる海峡は日に4回、干満の際に響灘と周防灘に大きく水位の差をつけて流れを変える。当初平家軍が優勢であったが、この潮の流れを読んだ源氏が盛り返して勝利したのだ。土壇場の逆転勝利である。
 以下クライマックスのところを、平家物語から拾遺するとこうなる。
 
 安徳天皇は、最期を覚悟して神爾と宝剣を身につけた祖母二位尼に抱き上げられると、「尼ぜ、わたしをどこへ連れて行こうとするのか」と問いかける。二位尼は涙をおさえて「君は前世の修行によって天子としてお生まれになられましたが、悪縁に引かれ、御運はもはや尽きてしまわれました。この世はつらくいとわしいところですから、極楽浄土という結構なところにお連れ申すのです」と言い聞かせる。安徳天皇は小さな手を合わせて念仏を唱えると、二位尼は「波の下にも都がございます」と慰め、安徳天皇を抱いたまま壇ノ浦の急流に身を投じ、安徳天皇は歴代最年少の8歳で崩御した。

 勝利した義経にも悲惨な後世があるのだがそれはさておき、この合戦により貴族政治が終焉し、武家政治が確立してのちのち明治維新まで続く幕開けにもなった。
 それ以降の時代、維新騒動の際、長州藩が英国に攻撃しかけた[長英戦争]なるものが此処で勃発している。指揮したのが天才・高杉晋作、大砲を海際に並べてイギリス船に撃ちかけたのだが、後詰めの最新兵器アームストロング砲を装備した船からの砲撃に惨憺たる敗北を喫したのである。
 その大砲の実寸大のレプリカが、威容を誇って並べてあった。

 ようやく傾けかけた陽を浴びて壇ノ浦が金色に染まるのを見届けてバスに乗ることであった。
 
 今回は盛り沢山の歴史探訪撮になって満足している。ただ未踏の名所はふんだんにあってこの地は緒についた歩きだった。
 機会あらば宿泊して唐戸~下関まで歩き、巌流島(船島)の決闘場に立ち会いたいものだと、思った次第。
                          (この稿終了)
 なお画像は後日[と・ある風景]の街&遺・史跡の書庫に載せます。

HP山野草探訪撮
http://sannyasou.sakura.ne.jp/


コメント

nophoto
岩見
2009年1月10日13:17

 明けましておめでとうございます
お久しぶりです。
久しぶりに拝見させていただきました。
私も下関に足掛け6年ほどいましたので
下関のこと懐かしく拝見しました。
 忙しくて探訪撮に久しぶりに
アクセスしたところ以前行ったことの
ある所の話で楽しく見させて頂きました。
 お元気で継続されているご様子で
うれしく思っております。
 今年も時々ですが拝見させていただこうと
思っております、ます々のご活躍をお祈り致します。 

nophoto
編集室
2009年1月10日18:27

 明けましておめでとうございます。新しい時代の安定した年であって欲しいと願うのですが、まだ行く先不透明のようですね。
 お久し振りですがお元気の様子でなによりです。健康第一に牛歩でいきましょう。
 年末に博多から門司港へ、それから海底トンネルを歩いて壇ノ浦へぶらり独り旅をしてきました。貴兄は下関に6年もおられた由、あちらはいい所ですね。海峡で史跡が残る街はまだまだ見残した場所が一杯あって機会見て再度ぶらり旅に挑戦します。
 ではではお元気で。
SU

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