メロンの産地といえば〔夕張〕が先ず浮かぶ。さして好物ではないがそれと同じように岡山のメロン産地は?と訊かれれば〔足守〕と答えれるほどに、〔足守メロン〕は市民権を得た果物になった。なんでも盛期は西川きよしのように目が飛び出るほど高値がつくそうだ。食べれる人は大いに買って食べてもらいたい。
知人からメロンの漬物だある、と聞いた。
今の時期は受粉のあと蒼い小さな果実を着け、栽培の効果をあげるために余分とされる果実を摘み取るのだが、この未熟実を味噌に漬けたものらしい。ただ単に漬けるだけか、あるいはそこに味付けのノウハウが加わっているのかは食味していないので定かではない。栽培途上の副産物であり栽培農家が片手間にする嗜好品らしい。量的に流通に乗るものではなく、しかも正真正銘季節限定品である。成熟した物の漬物ですといわれたら、それこそゲップが出て見たくも無いし、第一味噌がいくらあっても足りないだろう。
果物のメロンには手を出したくないが、漬物とくれば味を利きたくなる。
おぼろげに聞いた青空市(そこしかないらしい)に朝早くでかけてみた。180号線から足守に入って、ここぞという辺りを徐行しながら走っていって、とうとう黒谷ダムに至った。らしきものは皆目なし。
以上が先日の話。
知人にあらためて訊くと場所位置は、なんと吉備新線を下りて直ぐのところ。180号線の足守からだととんでもない大回りである。でも、知人のために弁解しておくと足守に奥さんの実家があって、周囲の地理は足守の中心地からみる癖がついているのだ。行政区域は岡山市足守でいささかも間違いない。
人間の世の中、コロンブスのタマゴは珍しくも無いが。
ここからは今日の話。
そこで迷わず吉備新線を、快適に走った。
加茂川線を左折。走ればイヤでも分かる青空市に到着。
青空はアオテンなのに、こちらは掘っ立て小屋市なのだ。全国にある青空市の多くはこの類で、簡易ながら屋根あり壁あり庇あり、閉店後のセキュリティも万全である。まして山の上の森林の中であるからグリーンシャワーを浴びながら買物できるのは貴重な環境ではないか。
なぜか隣は墓地である。
敷地もさして広くない店で、扱う農産物も多くはないが、市だから一応青物が氾濫している。にじり口で小父さんが取立てワラビを揃えて紐括りしている。小母さんはなにかしら品揃えしている。奥で姐さんがダンボール箱から商品をとりだしている。奥の段棚は加工品で埋まっていた。
「いらっしゃい」と、ずいぶん遅れて姐さんに歓迎の挨拶をもらった。
一通り見渡した。ない!ないではないか!
「メロン!」私は右手の親指と人指し指で小さい丸を作って、言った。「の漬物があるということを聞いてきたんじゃが、無いねー」
なぜかしばらく返事がない。この空白はなんだ!
小父さんは知らんぷり。奥のお姐さんが、「ありゃあ、いつもこつもないんじゃけぇ」といいながら手の動きは止まらない。「作ってる農家もそれが目的じゃあなかろう、あるときに持ってこられるだけで、いつになるか分からんし、あったときにこられたあ人はよっぽど幸せもんじゃ、そういう人が多いじゃけど、予約して帰りんさるんじゃ」
「えっ、予約制ですか」姐さんが、したり顔で頷いた。
「店頭に並べるほどの量じゃあねえけえのう」とこれは小母さんの後押し。
南無三、予約していつ来れるわけでなし、ここは諦めが肝心。
せっかくだから、新鮮な葱とキュウリ、破竹を買う。大好物のオオバはなかった。小父さんは、モクモクとワラビの紐掛けに専念していたが、突然、
「ヨウ!兄貴!」と大声を張り上げた。
すると息子のような年齢の青年が真向かいの山から降りてきた。顔見知りの仲だろう、みんなで雑談しだした。
「破竹を買わんか」小父さんは商売気をだす。
「破竹なら取りにいきゃあなあんぼでもあらあ」と青年。
姐さんが奥から、「この人ァとるんじゃけえおえんわあ」
「じゃあワラビはどうじゃ」と手先を変える。
「おそうまであるのう、ワラビは」とうまいぐあいに話を逸らす。なかなかもってシワイと、診た。
「彼岸まである彼岸まで、茅のなかにあってみなはわからんがのう、わしゃ生えるとこう知っとるけえの」
「ほうか」

会話をメモするわではないので、耳取材をこの辺できりあげる。
「ありがとう」
小母さん&姐さんの標準語のハーモニーに送られて車に乗った。

コメント

nophoto
平成 寅吉
2006年6月9日11:26

食べたことはないが多分どこかに在るでしょう、瀬戸では白桃の間引いた2〜3センチ丸の実をもろ味仕立てにして販売しています。モロミと焼酎は合いますよ

SU
うの
2006年6月24日6:50

アドバイス了解。さがしてみます。

nophoto
城 志織
2008年3月14日12:54

昨年の足守のお祭りに出展したメロンのお漬物は当社で製造したものです。ちなみに白桃金山寺味噌も当社オリジナル商品です。
本店    岡山市表町1−6−38オランダ通り沿い
本社・工場 岡山市十日市西町13−5日赤病院裏
      株式会社城 忠一商店
      (086−221−6100)
明治35年創業の歴史のあるお漬物屋です。 

SU
うの
2008年3月14日15:15

城 志織 様
 コメントありがとうございました。
 表町付近に出かけたときに寄ってみたいと思います。
 こんごともよろしくお願いします。
                   魚住 純

SU
うの
2008年4月19日8:45

城 志織 様
 昨日、用事があってオランダ通りを歩きました。
 シンフォニーホールから両サイドを見ながら進むと、ありました。大きな幟が見えました。
 お目当ての漬物は時期が違うので、高菜漬物を買いました。
 場所が分かりましたので、市内にでかけたら覗いてみたいと思います。
 

nophoto
城 志織
2008年5月22日22:45

お越しくださりありがとうございます。
私は本社の方におります。本社は工場になります。
工場直売店はお客様よりのご注文があってから樽よりお漬物をお出ししています。お待ちいただきますが、これが本来のお漬物屋であると思います。ぜひ、十日市までお越しください。
300種類以上の商品が工場にはあるんですよ!
「白桃金山寺味噌」ですがJRのお土産物屋さんやシンフォニービル一階にもございます。
天満屋岡山店、倉敷店、福山店、夢タウン平島店、灘崎町のファーマーズマーケット内にもお店か商品がございます。
浅漬けが特にお勧めですよ(笑)
SU

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