映画観賞〔男たちの大和〕
2006年1月13日これだけメディアが氾濫して、しかもいろんな手段でタイムリーな情報が手軽に入手できるようになってからは、〔映画〕を〔映画館〕で観る機会は極端に疎遠になった。
かっての映画小僧は2本立て、3本立ての興行をハシゴしていたものだが、いまは余程興味が湧かないと足を運ばない。直近で観たものは山田洋次監督の〔秘剣シリーズ〕ものだから、かなり前だ。映画館のなかの空間で独り感情を交錯させながら凝縮ささせた映像物語に浸るのは、それなりの得がたい魅惑なので捨てきれないでいる。
〔男たちの大和〕を会社の帰途にある映画館で見た。書店に原作本(辺見じゅん)が並んでいて、イヤが上にも目に入る。極太のタイトルに抵抗感があるので手に取ってみようという気はないが、映像はいいかな、という具合の状態にあった。
想像していた通り、若い世代はいない。
〔あの戦争〕と〔戦艦大和〕の字面をなんらかの形でカスって生きたきた年代の人たちでほぼ満員であった。太平洋戦争勃発は昭和16年だから私はこの年に生まれた。現実のカスリは覚えていないにせよ、真っ只中の灯火統制はランプのホヤのように記憶があるようであり、戦後の戦艦大和の言葉は生々しく知っている。だから、ほんのカスリを身に付けて生きている。
重厚な戦艦を舞台にド派手な戦闘シーンがクライマックス。
しかしそれには人間としての感情の縦糸横糸が当然絡む。開戦時の政治状況は別にして、大和の竣工は敗戦濃厚の痣となった。
制空支援拒絶された大和は戦艦のみの戦地出航を余儀なくされるが、大きな標的される様はまさに裸の巨艦に過ぎない。
軍部組織の非人間的な下達指令。
享受せざるえない戦艦司令部。
戦艦勤務に憧れて目を輝かして乗船する新兵。
人間をさらしながら愚直なまでに突き進む上等兵。
母と子が抱き合って絆を確かめる情愛。
青春期の純粋な愛の悲劇。
観る人の立場や環境で捉え方は違っていても、やはりこの映画は平和へのメッセージに変りはない。
あちこちで白いハンカチで目頭を拭いていた。
日本人の純朴は、まだまだ枯れていない、と暗闇で確かめたものだった。〔編集人〕
かっての映画小僧は2本立て、3本立ての興行をハシゴしていたものだが、いまは余程興味が湧かないと足を運ばない。直近で観たものは山田洋次監督の〔秘剣シリーズ〕ものだから、かなり前だ。映画館のなかの空間で独り感情を交錯させながら凝縮ささせた映像物語に浸るのは、それなりの得がたい魅惑なので捨てきれないでいる。
〔男たちの大和〕を会社の帰途にある映画館で見た。書店に原作本(辺見じゅん)が並んでいて、イヤが上にも目に入る。極太のタイトルに抵抗感があるので手に取ってみようという気はないが、映像はいいかな、という具合の状態にあった。
想像していた通り、若い世代はいない。
〔あの戦争〕と〔戦艦大和〕の字面をなんらかの形でカスって生きたきた年代の人たちでほぼ満員であった。太平洋戦争勃発は昭和16年だから私はこの年に生まれた。現実のカスリは覚えていないにせよ、真っ只中の灯火統制はランプのホヤのように記憶があるようであり、戦後の戦艦大和の言葉は生々しく知っている。だから、ほんのカスリを身に付けて生きている。
重厚な戦艦を舞台にド派手な戦闘シーンがクライマックス。
しかしそれには人間としての感情の縦糸横糸が当然絡む。開戦時の政治状況は別にして、大和の竣工は敗戦濃厚の痣となった。
制空支援拒絶された大和は戦艦のみの戦地出航を余儀なくされるが、大きな標的される様はまさに裸の巨艦に過ぎない。
軍部組織の非人間的な下達指令。
享受せざるえない戦艦司令部。
戦艦勤務に憧れて目を輝かして乗船する新兵。
人間をさらしながら愚直なまでに突き進む上等兵。
母と子が抱き合って絆を確かめる情愛。
青春期の純粋な愛の悲劇。
観る人の立場や環境で捉え方は違っていても、やはりこの映画は平和へのメッセージに変りはない。
あちこちで白いハンカチで目頭を拭いていた。
日本人の純朴は、まだまだ枯れていない、と暗闇で確かめたものだった。〔編集人〕
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