道の駅過ぎて左折、毛無山への山道を走る。山際の寂しくなった山野草を拾い写しながら女滝、不動滝(雄滝)あたりから紅葉が濃く植林とのコントラストに目を張る。奥深くになれば全山が燃えるように紅い。ナナカマド、ウルシは特に真紅。段帳の雲が残念。
 岐路を土用ダムにとる。山越えしてさらに左折して人どころか車さえ行き合わぬ深山を貫く紅葉ロード。耐え切れなくなって雲が時雨を落とし始めつむじ風が舞い葉を吹き、視野が乱れる。たった1台がたとえようもなく侘しくなり、人家もないのに突然墓地が現れて慄く。クマ出没のニュースは真新しい。路上に黒い塊が動いていてもおかしくない環境である。
 それでも右足はアクセル踏み込む。
 木木に埋もれた土用ダムの堰堤が見え、右手にダム見学路の標識があって鉄製ゲートが不気味に開いていた。余程引き返そうかと思ったが見事な山燃えに牽かれて車を乗り入れる。1キロほどの山腹を縫う紅葉樹海道はとてつもなく遠い。
 堰堤広場に着くやいなや驟雨の有様。ダムは深淵で魔物が潜む様。雨を突いて車外に出て撮影する。背後で山がザワザワ騒ぎ獣に肩を叩かれ、る気がしてギョとなり、早々に車に入る。
 中電の発電用ダムで鎧に似たゲートが立ち入りを拒み監視カメラが動く。
 毛無山道に戻ると人里が散見されるのでホッとしたのは確かだ。雲は散って雨を遠ざけた。
 山の家に駐車してしばらく歩く。真冬に冷蔵庫の扉を開けているような冷気が登山道から吹いてくる。その中から、関西弁を使う登山客がポロポロ吐き出されてきた。
 帰路、旧出雲街道に逸れてみたがやはり細道の杉木立に埋没したので引き返した。
 181号線は勝山でとっぷり日が落ちた。
 紅葉探訪撮の1日が終わった。

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