山野草探訪撮【春萌ゆる郷】
2004年5月15日 豊永は草間と隣接して地質を同じくする阿哲台。
岡山では随一のカルスト台地なのである。
新見市では最も東南に位置し台地を下ると上房郡北房町に入る境界集落であって、いわずもながらすべてが、山の中にある。
水稲に適さない地質は畑作をうながし、葉タバコ、蕎麦、野菜栽培が主流になり、一日の温暖の差が甘露な糖分を合成するらしく、ピオーネの栽培が近年は隆盛になって、目に留まるところブドウ畑の簡易ハウスが連らなり、その上を緑の香りを含んだ風が馥郁として流れていた。
その畑のあちこちに石灰岩塊が頭を突き出し、異様な光景を演出している。豊永の観光名所は、なんといっても鍾乳洞「満奇洞」であろう。金田一耕介が活躍するミステリー映画のロケ地になったほど、神秘な美しさを備えた洞窟である。
快適な天候のなか、今日は豊永の山野草をめでるウォーキングしてきた。
空き地に車を留めてリュックとカメラを携帯して、集落から山道をたどる。
「豊永ふるさと宝の会」の発行しているパンフをみると、地区内の道路は縦横にはりめぐされ交叉している。地図を持たないで歩くと、今、自分はどこに立っているのか分からなくなる。分からなくともいずれ振り出し地点に帰れる利便(?)があるかも知れない。
閑散とした空間に農作業にいそしむ人たちが疎見された。
庭先にはさくらんぼの木がたわわに実を熟らして枝を重くしている。
納屋の軒下に手押しの鋤やら畑のなかで畝巾をつける木製の農具が、民俗館行きの価値で転がっていた。
石灰岩の小石を積み上げた段々の畑道をそぞろ、やがて小道は山間の緑に埋もれていく。
白、ピンク、紅色のカノコソウ・アザミが花盛り。背丈があるので微風に戯れ、蝶・蛾・蟻・テントウ虫などが蜜を求めて花房に群がる。
そのアングルでCFのコマがどんどん減っていく。
林間の平地に、不思議な現象をみつけた。高く伸びる草を丸く残し下草をキレイに刈り込んでいる。
気に留めなかったが、歩く先々で出現してくると何だろうか、と穿鑿したくなる、たち止ってよく見ると、茅であった。
多分、推測するに、秋口に刈り取り乾燥させて保管しておき、茅葺屋根の葺き替えに使うのだろう。いつかTVで見た白川郷の大屋根はこの茅を使う。まさか白川郷に供給するわけがないだろうから近辺の神社仏閣、あるいはお堂のものとしての栽培(?)かもしれない。
ホタルカズラ、ギンラン、フタリシズカ、イチヤクソウ、キランソウ、タツナミソウ、シライトソウ・・等々30種近い花にめぐり合うことができた。
鳥のさえずりを聞きながら昼食を摂れるのは、このうえなく美味い。
おおかた5時間はこうやって散策したころ台地に時雨が舞いだした。
山崖に貼りついてホタルカズラを撮影していると、鎌を持った老女が後から追いついてきた。
「まだ咲いとるかね?」と聞く。
「ええ、もう終わりでしょうけど・・」
「済んだと思ったがね、ああまだあるわ・・、ええっと、これは・・」
「ホタルカズラです」
「そうだそうだ、そういう名前だ」
彼女は路傍のフキを刈りだした。刈るほど密生しているのである。
「どこから来なすった」
「岡山市内です」
「ヘェー、そりゃまたごくろうさまで・・」
老女と老男(とは言わないが)の、自然な会話であった。
秋には秋の、台地の花に会いに来たい。
岡山では随一のカルスト台地なのである。
新見市では最も東南に位置し台地を下ると上房郡北房町に入る境界集落であって、いわずもながらすべてが、山の中にある。
水稲に適さない地質は畑作をうながし、葉タバコ、蕎麦、野菜栽培が主流になり、一日の温暖の差が甘露な糖分を合成するらしく、ピオーネの栽培が近年は隆盛になって、目に留まるところブドウ畑の簡易ハウスが連らなり、その上を緑の香りを含んだ風が馥郁として流れていた。
その畑のあちこちに石灰岩塊が頭を突き出し、異様な光景を演出している。豊永の観光名所は、なんといっても鍾乳洞「満奇洞」であろう。金田一耕介が活躍するミステリー映画のロケ地になったほど、神秘な美しさを備えた洞窟である。
快適な天候のなか、今日は豊永の山野草をめでるウォーキングしてきた。
空き地に車を留めてリュックとカメラを携帯して、集落から山道をたどる。
「豊永ふるさと宝の会」の発行しているパンフをみると、地区内の道路は縦横にはりめぐされ交叉している。地図を持たないで歩くと、今、自分はどこに立っているのか分からなくなる。分からなくともいずれ振り出し地点に帰れる利便(?)があるかも知れない。
閑散とした空間に農作業にいそしむ人たちが疎見された。
庭先にはさくらんぼの木がたわわに実を熟らして枝を重くしている。
納屋の軒下に手押しの鋤やら畑のなかで畝巾をつける木製の農具が、民俗館行きの価値で転がっていた。
石灰岩の小石を積み上げた段々の畑道をそぞろ、やがて小道は山間の緑に埋もれていく。
白、ピンク、紅色のカノコソウ・アザミが花盛り。背丈があるので微風に戯れ、蝶・蛾・蟻・テントウ虫などが蜜を求めて花房に群がる。
そのアングルでCFのコマがどんどん減っていく。
林間の平地に、不思議な現象をみつけた。高く伸びる草を丸く残し下草をキレイに刈り込んでいる。
気に留めなかったが、歩く先々で出現してくると何だろうか、と穿鑿したくなる、たち止ってよく見ると、茅であった。
多分、推測するに、秋口に刈り取り乾燥させて保管しておき、茅葺屋根の葺き替えに使うのだろう。いつかTVで見た白川郷の大屋根はこの茅を使う。まさか白川郷に供給するわけがないだろうから近辺の神社仏閣、あるいはお堂のものとしての栽培(?)かもしれない。
ホタルカズラ、ギンラン、フタリシズカ、イチヤクソウ、キランソウ、タツナミソウ、シライトソウ・・等々30種近い花にめぐり合うことができた。
鳥のさえずりを聞きながら昼食を摂れるのは、このうえなく美味い。
おおかた5時間はこうやって散策したころ台地に時雨が舞いだした。
山崖に貼りついてホタルカズラを撮影していると、鎌を持った老女が後から追いついてきた。
「まだ咲いとるかね?」と聞く。
「ええ、もう終わりでしょうけど・・」
「済んだと思ったがね、ああまだあるわ・・、ええっと、これは・・」
「ホタルカズラです」
「そうだそうだ、そういう名前だ」
彼女は路傍のフキを刈りだした。刈るほど密生しているのである。
「どこから来なすった」
「岡山市内です」
「ヘェー、そりゃまたごくろうさまで・・」
老女と老男(とは言わないが)の、自然な会話であった。
秋には秋の、台地の花に会いに来たい。
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