【高知県大豊町南大王のフクジュソウ】
 今日の瀬戸大橋は制限速度50キロ、二輪車通行止めの規制表示。ハンドルが風圧で小刻みに動く。坂出あたりからワイパーを最速で使うようになる。松山道を走り出すと前方の視野が不透明になるほどの降雨にみまわれた。予報ではハナマルだったのに。これは最悪の天気!1
川之江から高知道に入ると、好天とはいかないでも「曇り時々晴れ場合によっては小雨」という、どっちにころんでも外れなしのあんばい。大豊INを降りて国道32号線を逆戻りし、豊永で県道439号線に進み、さらに離合もままならない崖っ淵道に乗り入れる。肝ためしに適応した道路である。
 フクジュソウ祭りの期間内だけど、ウィークデーなので青年団の交通整理もない。その分観光客がいなくてヒヤヒヤしながら対向車もなく羊腸の山襞をしのぎ目的地に滑り込んだ。この集落には平地が存在しない。切り込みの谷を挟む両山の傾斜に、ちぎり紙を貼り付けたような家屋が散在している。都会から来た者をうならせる光景である。
 文旦を売っている小屋で入山料300円を払う。足元からフクジュソウが生え、標高600メートルの地点までフクジュソウだらけの山で、規模的には日本一という呼び声がある。主に田畑の土手に密生しているが散見する民家の庭にもその根は波及しており、すべての花が満開になると遠目にも全山黄色に染まる。
 3月初めが見ごろだそうで、今の時期はガクにつつまれた蕾が目立つ。それでも「おませ」はいるもので、それを見つけてアングルを狙いシャッターをきる。それを繰り返しながら、煙となんとかと同じように次第に上へ上へ登っていく。
 突き詰めた処に大きな小屋があって、「うどん」「そば」はもとよりパチパチ燃える炉辺の周りに「みそ田楽」「やまめ」の串刺しをたてて焼き売りをしている。
 周囲が暗幕を張ったように暗くなり、雪が舞いだした。
 すっかり冷え切ってうどんをすする。熱いのがご馳走だ。
「きにょうは嵐のように風が吹いて雨が降って客はさっぱりだった」
「そうかね。今日きて正解かね」
「陽が照ったら花は開くけどね」
 うどんを作るおばさんは笊の湯きりをしながら教えてくれた。
 満腹感でもうひと歩きをしたけれど、とうとうこの日は天照大神のご出馬はなかった。
 それで満足満足、としたい。
 

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